こんにちは、ちざるです。
朝がぐーんと肌寒くなってきましたね。
以前にも、このブログの雑記でひょうたんの加工をしている話は上げていますが、そのとき、ひょうたんの種や果肉を取り除くの使用した「ひょうたんごっこ」について、少し、特許寄りの話をしたいと思います。
身近な商品の特許を調べたいと思っている方、これから始めての特許出願を考えている方がいたら少し役に立つかもしれません(笑)
「ひょうたんごっこ」のパッケージ
パッケージを確認すると製造メーカーはヤクルト薬品工業株式会社であることが分かります。そこで、この会社のHPで商品を確認してみました。詳細はリンクをクリック
ありました! 「ひょうたんごっこ」説明を読むと、種出しに革命を起こしたこと等が記載され、「・特許第2761831号:ヒョウタンまたはユウガオの内部組織の除去方法」と記載がされていました。
「ひょうたんごっこ」特許技術でした。
でも、これでは、具体的にどんな特許技術なのかわかりません・・・まぁ想像はついています(笑)
今回は、この特許を確認する方法について説明していきます。
この記事は、PCでみることをオススメします。
特許を調べるときはJ-PlatPat
日本国内に出願されている特許を調べるには、特許情報プラットフォーム(Japan Platform for Patent Information: J-PlatPat)を利用することで、無料で、特許、実用新案、意匠、商標に関する各種情報を検索・照会できます。
では、さっそく、検索ページに行ってみましょう。
特許を調べる
どどーん
プラットフォームを開くと、上部に、左側から、特許 実用新案、次に!意匠、商標とタブが並んでいると思います。
今回は、特許を調べますので、特許のタブにカーソルを合わせます。
すると、選択ボックスが表示されます。今回は、上記の通り、調べる対象の番号がわかっていますので、特許番号検索を選択しクリック!
クリックすると、ページが切り替わり、検索する番号を記入するページになります。
ここで、検索対象、入力種別についてはそのままにしておきます。
次に、四角い入力ボックスが並んでいるところを確認します。ここで、対象は、日本の特許なので、左側のボックスもさわらなくてOKです。
真ん中のボックスの左側にカーソルを合わせると、何を検索するのかを選択できます。
細かな話しは、割愛しますが、特許は、出願すると、各段階で、様々な番号が付与されますので、手元にある資料に記載された、どの番号を使って検索するのかを選ぶ必要があります。
今回は、ひょうたんごっこのページでは、特許番号が記載されていたので、「特許番号(B)」と記載されたところを選択。
ここで、番号種別が確定しましたので、右側の番号のボックスにホームページに記載されていた、特許番号2761831を入力し、下方の「照会」をクリックします。
クリックすると、ページが切り替わり、検索結果一覧が表示されます。
左上の国内文献のところに(1)と記載されており、以下に、一件、文献が記載されています。この表示されている文献の登録番号と書かれたところを確認すると特許2761831号と記載されています。 発見!
青色になっている登録番号をクリックすると、上のような画面に切り替わり、この特許の内容に関するページへ移動します。
再度、登録番号と発明の名称に誤りがないことを確認します。
特許情報を確認する
特許情報の基本
では、この文献表示ページの「書誌」のページを使って以下の内容について確認してみましょう。
実際には、他にもたくさんのことが記載されていますが、以下の3点に絞っています。
- 出願はいつされたのか
(22)のところにあります。出願日は、特許の存続期間の計算など、確認することが多い項目の1つです。
(22)【出願日】平成5年(1993)3月2日 となっています。
1993年って、エヴァンゲリオンのテレビ放送が始まったのが95年だから・・・だいぶ前ですな - 特許権者はだれ?
(73)のところにあります。上の図だと切れてしまっていますが、少しスクロールすると見えます。 大槻 義昭さんという方が発明者となっています。この方、ネットで調べてみるとひょうたん会のえらい方でした。じゃんぼひょうたん会・・・・気になります(笑)
本製品を製造しているのは、ヤクルト薬品工業株式会社でしたが、本件権利者は個人の方でした。そして、製造メーカーのHPで販売は、サカタのタネにお問い合わせとなっていますので、なかなか複雑です(笑) - 発明者はだれ?
(72)のところにあります。上記と同じ 大槻 義昭さんが発明者でした。ということは、想像ですが、この発明者の方が、製造メーカにライセンスして製造し、サカタのタネが販売しているということになるのでしょうか。
では、現在の権利状況について、見てみましょう・・・もうわかってるって?
権利状況の確認方法
現在の状況を確認するには、「経過情報」をクリックします。
- 経過記録
本特許では、珍しく拒絶理由が通知されていない(一発特許)であることがわかります。 - 出願情報
本特許の出願人および発明者の情報と、下方に登録になったことが記載されています。 - 登録情報
特許の現在の権利状況がわかります。
本特許では「存続期間満了による抹消 存続期間満了日(2013/03/02)」と記載されています。
まぁー特許の存続期間が出願日から20年を知っていれば、特許公報の出願日をみれば、満了しているか否かはわかりますが(笑)
今回は、この特許の登録状況と権利内容等を簡単に確認するとともに、この特許文献をダウンロードしたいと思います。
公報の取得方法
今回は、この特許公報をPDFでダウンロードしたいと思いますので、まず、文献表示のページの上部にある「文献単位PDF」をクリックします。
「文献単位PDFの出力には、数分かかる場合があります。」との注意がでますので、「継続」をクリックします。
次にキャプチャ認証が出てきますので、表示された数字をボックスに手入力して、「OK」をクリックします。クリックすると右下の方にダウンロードのボタンが表示されるのでクリックします。
すると
このように、特許公報を取得できると思います。
ちなみに、この公報のURLはこちら
発明の内容確認
権利範囲
特許の権利範囲は、【特許請求の範囲】に記載されています。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒョウタンまたはユウガオの果実の内容
物を植物繊維分解酵素を使用することにより、酵素的に
分解、溶解させて除去することを特徴とするヒョウタン
またはユウガオの内部組織の除去方法。
【請求項2】 酵素が、セルラーゼ及びヘミセルラーゼ
である請求項1記載のヒョウタンまたはユウガオの内部
組織の除去方法。
【請求項3】 酵素として、更に、ペクチナーゼを使用
することを特徴とする請求項2記載のヒョウタンまたは
ユウガオの内部組織の除去方法。
【請求項1】の内容について
この当時には、ヒョウタンの加工に酵素を使うという発想が無かったのでしょうか。対象は限定されていますが、酵素の種類については、限定されていないので広いですね。方法の特許ですが
【請求項2】の内容について
請求項2において、はじめて、酵素が、セルラーゼ、ヘミセルラーゼと限定されています。
本件特許としては、除去方法のみですが、物についても権利化していればもっと強力だったと思いますが、段落【0018】に記載の通り、当時すでに、使用されている酵素は、すでに市販されていて、植物繊維分解に適していることも知られていたとすると、あまり勝負せずに、除去方法での権利化が確実だったのかもしれません。
ちなみに、当時であれば、ヒョウタンの加工に適した複数の酵素の配合割合で特定すれば、内部組織除去剤としても権利化の可能性があったかもなんて考えたりします。
その他の記載
特許請求の範囲の記載以降には、その発明の技術分野や技術背景、そして、実施例を含む詳細な説明が記載されています。
実施例としては、種々の濃度の酵素をひょうたんに作用させて、その内部組織の分解・溶解度を確認しているようです。
ちなみに、段落番号【0022】に記載の、本酵素が種には作用せず、通常の種子として利用できる点については、昨年、「ひょうたんごっこ」で種抜きをした際に、庭にバラまいた種から、今年、芽がたくさん出てきたので、記載の通りであることを実感しています(;’∀’)。
ちなみに、以前、【雑記】初心者向け ひょうたんの加工方法 収穫~乾燥まで の記事において、記載しましたが、この方法の課題は、説明書通りに実施すると、大量処理の手間がかかることでした。
実施例でも【0020】に記載されているように、ひょうたん一つ一つに孔をあけてそこに、酵素液を流し込む方法なので、30個を超えたあたりから正直なところ大変になってきます。
そこで、今度は、本特許に記載の濃度で酵素液を調整した容器に、孔をあけたひょうたんを漬けて、やったら、楽にならないかなと考えたりしています。
まとめ
今回は、パッケージに記載された情報から、特許情報を調べる方法を説明しました。
実際には、特許明細書から、様々な情報を取得して利用するためには、特許法に関するより詳しい理解が不可欠ですが・・・
今回は、特許法上の細かい話は割愛し、目的の特許情報にたどり着くこと、そして、取得した特許明細書が目的のものであることを確認出来ることを目指しました。
調べてみると意外な事実がわかるかもしれません。
今回は、現在の権利状況に加えて、発明者の方が、ひょうたん会のえらい人であることがわかりました(笑)
あなたの気になる特許について、ここまで調べて、もしも、あなたの事業との関係で不安なる事があったら、そこから先は、専門家である弁理士に相談してみましょう。
なにも持たずに問い合わせするよりは、何倍も有意義な回答を専門家から得られるはずです。
これを読んで、特許っておもしろいと思っていただけたら幸いです。
また機会がありましたら、「ひょうたんごっこ」のロゴマークについても少し調べてみようと思います。
ありがとうございました。
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