【知財】特許事務所(特許業務法人・弁理士法人)・弁理士の探し方

知財

こんにちは、CHIZARU です。ローマ字表記にしてみました。

 突然ですが、あなたが発明をしたときに、頼りになる弁理士や特許事務所を知っていますか?

今回は、無い!って思った方に役立つ、特許事務所や担当弁理士の見つけかた、特許事務所の選び方を紹介します。

観点1 外国出願もする?

 発明した技術がグローバルに権利を取得したいと思うようなものである場合、初めの出願段階から、国際出願を考えて行っていく必要があります。

 この場合、国内とは比較にならない事務負担がありますので、外国関連の事務処理に精通している事務所であること。

 また、国内出願の段階から、グローバルに通用する権利を意識して、書面を作成する必要があるので、国際出願の経験のある弁理士を選びましょう。

観点2 大手事務所か中小規模事務所

 特許事務所は、所員数が、1人以上20人以下の小規模事務所、20人以上100人以下の中規模事務所、そして、100人以上の大規模事務所があります。

小規模事務所

小規模事務所は、所長弁理士の先生の有している経験と、あなたの発明にかかる技術がマッチしている場合には、非常に優れた効果を発揮する反面、技術が外れていた場合には、その理解のために余計な手間がかかる可能性があります。

 弁理士は、試験に合格して、登録すれば弁理士業務を行うことができますが、明細書を仕上げるためには、技術分野の理解と明細書作成技術の両方が欠かせません。

 ですので、明細書を書ける先生が一名の事務所では、受けられる技術が限られています。実際には、コンフリクトがなければ、受ける事務所が多いと思いますが、結果的に、拒絶応答で苦労したり、クライアントの思ったような権利にならないなんてことがあります。

中規模事務所

 中規模事務所は、小規模事務所に比較して、事務処理もマニュアル化しており、また、外国案件も行っているところが多いので、事務処理面では、よほどマニアックな国での実施出ない限りスムーズに対応可能と思います。

 弁理士についても、複数人所属しているため、技術分野毎に担当分けがされて、機械しかやったこと無い先生が、薬の発明を担当するようなことはないと思います。

 ただ、これは外からではわからないのですが、担当弁理士が忙し過ぎる場合があります。このような場合には、タイムリーな対応が困難であったりする場合もあります。

大規模事務所

 大規模事務所は、世界中の特許事務所との付き合いがあり、特許事務も国内と外国で分かれており、クライアントが対応すべきことについても、細かく説明してもらえる事が多いです。

 しかしながら、大手企業をメインに仕事を行っているため、柔軟な対応が難しい場合や、個人案件については、ボリュームでの交渉ができないため、額面通りの費用請求となり、小規模事務所に比較して高額になる場合があります。一方で、外国を含めた事務手続きやフォローはしっかりとしています。

 また、大規模事務所は、多くの弁理士や明細書を書く方を抱えていますが、クライアントが大手企業に偏っているところもあり、大手企業の明細書の書き方は、覚えているけど、それ以外の明細書は、書いたことが無い方も多くいます。

 このため、担当弁理士による力量の差、当たり外れの差が大きい可能性があります。つまり、様々な案件に精通している弁理士に当たれば、良いが、一つの企業案件しかこなしたことの無い弁理士にあたると、打ち合わせが思うように進まなかったり、出来た明細書が読みにくかったりすることがおきて、後々のトラブルになることがあります。

 

観点3 立地

 現代は、コロナの影響もあり、ほとんどの事務所で、リモート会議で打ち合わせる事が出来るため、東京の大手事務所の先生に書いてもらおうなんてことを思うかもしれません。

 もし、あなたが今後も継続的に発明をして、出願も視野に入れているなら、自分の会社や事業所、工場から近い場所の代理人を選ぶのも一つの選択肢です。

 打ち合わせ場所までの、物理的な距離が近いので、発明の現物を容易に持っていく事ができますし、設置型の発明の場合でも、気軽に弁理士を呼ぶ事ができます。

 ただ、現状、弁理士は、関東と近畿(大阪周辺)に集中していますので、これ以外の地域の場合には、難しいかもしれません。

 弁理士会の資料によると、約11000人の弁理士の約10000人が関東と近畿に分布しているようです。

日本弁理士会会員の分布状況

https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/04/dstribution-202203.pdf

観点4 専門性と先見性

 専門性

 今回、私が想定している発明者の方は、自分で明細書の記載を訂正したり図面案を追加修正することは困難な方です。 明細書の構成や記載を自由自在に操れる方であれば、極端な話、ドラフト案を弁理士に渡して、その通り書いて貰えば良いので、多少の専門性のズレは問題なく、発明者側で修正、フォローすることができます。

 これに対して、今回の想定の発明者は、明細書を見ることも初めてのようなの方ですので、その内容を積極的に直すことはできません。

 このような状況では、担当弁理士の発明の理解がとても重要になってきます。したがって、特許事務所の大きさ別の特徴の説明でもしましたが、特許事務所、又は、弁理士の専門性と、あなたの発明の技術分野が大きく異なる場合には、依頼しないほうが無難です。

 では、特許事務所の専門性はどのように調べたら良いのでしょうか。

 答えは、特許事務所のHPと特許公報にあります。

 特許事務所のHPがある場合には、そこで、事務所の強味や所属弁理士の経歴や専門分野が記載されていると思います。ここに記載された分野にあなたの発明が属さない場合には、候補から外しておきましょう。

 次に、特許公報には、事務所名、または、弁理士名が記載されているので、特許情報プラットフォームから事務所名で検索することで、依頼候補事務所がどのような技術の出願を行っているのかが見えてきます。(特許情報プラットフォームでの検索方法の詳細については、ここでは省略)

 ここで調べた結果、あなたの発明に近い技術が出願されている場合には、候補とします。一方で、全く知らない技術ばかりの場合には、候補から外しましょう。

 ここで注意!! とても近い技術の出願を扱っている特許事務所が見つかった場合であっても、その特許事務所が代理している特許出願の出願人が、あなたの競合である場合があると思います。このような場合には、コンフリクトを理由に事務所側から受任を断られてしまうことがありますので、候補は複数用意しておくことをおすすめします。

先見性

 専門性があれば問題ないと思いますが、あなたの会社が経営戦略や知財戦略を立案しているような会社でない場合には、発明をどのように事業に活用していくのかの「権利取得後」までをイメージして、提案できるような弁理士がおすすめです。

 私もそうでしたが、明細書を日々書いていると、どうしても権利化が先行して、ミクロ的な視点になってしまいます。一方で、事業を進めていくためには、マクロ的な視点で事業全体を俯瞰して、権利活用(守り、攻め)を考え、弱い部分を補っていくこと、強みは活かしていくことが大切ですので、ミクロ及びマクロの視点、両方をイメージしながら、提案ができる先生はとても貴重と思います。

 ただ、ここの感覚の判断については、実際に打ち合わせをしてみないとわからない部分が多いと思いますし、先見性が無いから一概にダメだってことにはなりません。少なくとも、上記の専門性がある程度あれば、任せてみてよいと思います。

 

観点5 費用

 特許出願は、決して安いものではないため、費用については、安いことは一つの選ぶ重要な基準になると思います。しかしながら、初期費用が安いと思っていても、後々、いろいろな諸費用を請求されて結局、支払額はあまり変わらないということもあります。

 特に特許の場合、商品が発売されていないので、どの程度売れるのかわからない中で手続きを行わなければならず、悩ましい限りですが、安いだけで選ぶのは危険です。

 対応としては、事前にホームページなどで、費用一覧を確認しておくこと、そして打ち合わせで、各手続きと費用を確認することが重要です。また、以下に弁理士会が過去に行った、弁理士の報酬に関するアンケートのリンクを掲載しましたので参考にしてください。

弁理士の報酬についてはここを確認

弁理士の費用(報酬)アンケート | 日本弁理士会
弁理士の費用(報酬)アンケート ※平成18年実施のアンケート結果を追加しました。 はじめに 報酬の体系 報酬の

 

観点6 ファーストインプレッション

 特許出願は、知財手続きの中でも、出願手続き、拒絶理由等への対応、権利化後の対応と、あなたが選ばれた特許事務所とは、長期的な付き合いを行っていくことになります。

 このため、最終的には、上記の諸条件を満たしているいくつかの事務所の中から、打ち合わせを実際してみて、特許事務所全体の印象、担当者の印象、所長の印象から、あなたのファーストインプレッションが良かった特許事務所へ出願を依頼するのが良いと思います。

 電話対応や打ち合わせでの話は、あまり良くなかったけど、他の事務所よりも格段に安いからといって、軽い気持ちで依頼すると、単に対応が良くないだけならよいですが、手続きの不備や、支払トラブル、音信不通なんてことにより、他の事務所へ案件を移す必要が出てきたりします。

 私が以前特許事務所にいたときにも、何度も中途受任の案件を受けたことがありますが、中途受任の場合、その明細書の背景が分からない部分もあり、拒絶理由への対応等が十分に行えない場合もあります。

 あなたの大切な発明の特許出願を依頼するときには、あなたが感じた印象が良い事務所に依頼するようにするとよいと思います。

まとめ

 最後まで、記事を読んでいただきありがとうございます。

 今回は、初めて特許事務所や弁理士に、特許出願を依頼する場合の特許事務所、弁理士の選び方、探し方のコツを記載しました。

 最終的に2つか3つの事務所候補になった後は、あなたと事務所の相性と思いますが、その前の選別の段階では、事務所の規模の違い、専門性、費用、立地等の軸で、事務所を振り分けてみると、個人的には、候補が絞れてよいと思います。

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